「セラピスト」といえば心や体を癒す職業です。
セラピストと聞いてカウンセラーのような心理系セラピストを思い浮かべる方もいれば、サロンでのリラクゼーション系セラピストを思い浮かべる方、病院で働く理学療法士のようなセラピストを思い浮かべる方もいるでしょう。
このように、セラピストという言葉にはあらゆる職業が含まれています。
この記事ではセラピストの種類をアプローチ別に5つに分けて詳しく説明していきます。
また、セラピストの仕事内容やセラピストに向いている人の特徴、セラピストの資格一覧もご紹介します。
Contents
セラピストとは
セラピスト(therapist)という言葉には「Therapy(治療)+人」という意味が含まれています。
セラピストという言葉にははっきりとした定義はありませんが、この語源が意味するように「治療をする人」というニュアンスが含まれています。
つまりセラピストとは「知識や技術を用いて精神面・身体面から症状・悩みを癒す仕事をする人」のことだといえます。
セラピストには国家資格が必要な職種から資格が必要ではない職種まで幅広い職種が存在します。
セラピストの種類(5つ)
セラピストには数多くの職業が含まれています。
セラピストの職業を大きく分けると5つに分類(医療系・ボディ系・心理系・リラクゼーション系・その他)することができます。
これからセラピストの職業を5つに分類して説明していきます。
医療系
医療系セラピストの仕事は病院などの医療機関・介護施設などで医療行為・リハビリなどを行う仕事です。
医療行為を行うセラピストの場合は国家資格が必要です。
- あん摩マッサージ指圧師
- 鍼灸師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 柔道整復師
など
ボディ系
ボディ系セラピストとは美容や日常生活での悩みなどに対して身体からアプローチして癒す仕事のことです。
医療行為は行いません。
民間資格はありますが、資格が必要のない職場もあります。
- カイロプラクター
- リフレクソロジスト
など
心理系
心理系セラピストとはストレスや悩みなどで心に不調をきたしている方に精神面のアプローチをして心を癒す人のことです。
心理系セラピストになるためには心についての知識が必要です。
国家資格が必要な仕事から民間資格が必要な仕事まで幅広い仕事があります。
- 公認心理士
- 臨床心理士
- 産業カウンセラー
- 精神保健福祉士
など
リラクゼーション系
リラクゼーション系セラピストとは施術によって人をリラクゼーションさせることで癒す人のことです。
国家資格が必要な職種はありません。
職種によっては民間資格が必要ですが、資格なしで就職できる職種もあります。
- アロマセラピスト
- エステティシャン
など
その他
その他、上に含まれないセラピストも存在します。
- ハーブセラピスト
- フードセラピスト
など
このように大きく分けて5つに分類できるセラピストという職業ですが、セラピストになりたい場合はどうすればよいでしょうか。
これからセラピストになるためにはどうすれば良いか説明します。
セラピストになるためには
セラピストと一言で言ってもあらゆる職種が含まれています。
セラピストになりたい場合は、
「自分がどのようなセラピストになりたいのか」
「自分がなりたいセラピストになるには資格が必要か」
「資格が必要な場合はどのようにして資格を取得すればよいか」
を考える必要があります。
まずは、「自分がどのようなセラピストになりたいのか」を明確にしましょう。
次にセラピストという職業に向いている人の特徴をご紹介します。
セラピストに向いている人はどんな人?
医療系セラピストは患者さん・患者さんの家族・医師・看護師たちと連携して仕事をしていきます。
あらゆる人と関係性を築くことが大切な職業なので、コミュニケーションが得意な方に向いています。
ボディ系セラピストは手で行う技術的な施術が必要な職種です。
日々努力をして技術を高めていけるような職人気質な方に向いています。
また、施術にあたって症状の原因をうまく患者さんから聞き出す必要があるので、ボディ系セラピストにもコミュニケーション力は必要です。
心理系セラピストは患者さんの悩みに付き添い共感し、人間関係を構築する能力が必要です。
人の話をじっくりと聞ける方に向いています。
このようにどのような職種のセラピストでも人と関わる力(コミュニケーション力)が必要だと言えます。
セラピストに向いている人は人とのコミュニケーションが得意な人やコミュニケーションが好きな人です。
セラピストとカウンセラーは違う
セラピストとカウンセラーを同じ職種だと考えている人が多いですが、この2つの職種は違います。
- セラピスト
何らかの専門的知識・技術を用いて具体的な方法で人を癒す【能動的】な働きかけをする
- カウンセラー
患者さんの話を聞いて心の安定や成長をサポートする【受動的】な働きかけをする
では、次にセラピストになるためにはどのようすればよいか、について詳しく説明していきます。
セラピストになるためには
セラピストの仕事の幅は広く、国家資格の取得が必要な職種から資格の取得が必要でない職種まで様々です。
これからセラピストになるためには、
「どのような資格が必要なのか」
「どのような進路で資格を取得したらよいか」
などについて職種別に解説していきます。
セラピストの資格一覧(仕事内容)
医療系
理学療法士(国家資格)
理学療法士の仕事
理学療法士の仕事とは、病気や怪我でリハビリをする人・高齢者の方・障害のある方にケアをして、症状改善をサポートする仕事です。
治療には運動療法と物理療法の2つがあります。
運動療法では関節・筋肉の可動域を広げたりして回復をサポートします。
物理療法では電気・温熱などの方法で症状改善をサポートします。
理学療法士になるためには
理学療法科(理学療法士養成課程)のある短大・専門学校・大学・指定の養成施設で勉強してから、理学療法士国家試験を受験して、合格したら理学療法士の資格が取得できます。
理学療法士の国家試験の合格率は70~90%です。
理学療法士になるための流れ
- 理学療法科(理学療法士養成課程)のある短大・専門学校・大学・指定の養成施設で勉強
- カリキュラム終了後、理学療法士国家試験受験(合格率70~90%)
- 合格後、理学療法士として働くことができる
柔道整復師(国家資格)
柔道整復師の仕事
柔道整復師の仕事とは、患者さんの怪我(骨折・脱臼・捻挫など)を整復(固定して治す)ことです。
理学療法士と似ていますが、整復師は整復・固定によって怪我などの症状を治すところに違いがあります。
柔道整復師になるためには
大学・専門学校(養成校)で勉強し、カリキュラムを修了してから柔道整復師国家試験を受験します。
国家試験に合格すれば柔道整復師として働くことができます。
国家試験の合格率は65パーセントです。
柔道整復師になるための流れ
- 大学・専門学校(養成校)で勉強
- カリキュラム終了後、柔道整復師国家試験受験(合格率65%)
- 合格後、柔道整復師として働くことができる
作業療法士(国家資格)
作業療法士の仕事
作業療法士の仕事とは、障害がある方のサポートをすることです。
病院・リハビリテーションの施設・介護施設・障碍者施設・発達障害支援施設などで主に活動します。
精神的な面でのリハビリを行うこともあります。
作業療法士は「作業」を通して患者さんのサポートをするのが特徴です。
例)
手芸という作業 → 精神面のケア
積み木などの作業 → 手の動き改善 など
作業療法士になるためには
作業療法士になるためには大学(医療系)・短大・専門学校などの養成所で勉強し、カリキュラムが修了したら、作業療法士国家試験を受験します。
国家試験に合格すれば作業療法士として活動できます。
国家試験の合格率は70~80%です。
作業療法士になるための流れ
- 大学・短大・専門学校(養成校)・養成所で勉強
- カリキュラム終了後、作業療法士国家試験受験(合格率70~80%)
- 合格後、作業療法士として働くことができる
鍼灸師(国家資格)
鍼灸師の仕事
鍼灸師の仕事とは「はり」と「お灸」を使って症状改善をサポートする仕事です。
東洋医学を学んで、体中にあるツボを刺激します。
鍼灸師になるためには
鍼灸師専門学校・大学(鍼灸学科)・短大のどれかを卒業すると鍼灸師国家試験の受験資格がもらえます。
国家試験を受験するときは、「はり」と「お灸」は別の資格と考えられています。
そのため、はりだけ、お灸だけの資格を持っている人もいます。
「はり」「お灸」のどちらの試験も合格率は70%程度です。
鍼灸師になるための流れ
- 鍼灸師専門学校・大学(鍼灸学科)・短大で勉強
- カリキュラム終了後、鍼灸師国家試験受験(合格率約70%)
- 合格後、鍼灸師として働くことができる
あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
あん摩マッサージ指圧師の仕事
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、患者さんの体の不調を見つけ、あん摩・マッサージ・指圧を行って不調改善のサポートをする仕事です。
東洋学をベースに体をさすったり、揉んだり、押したりすることで症状にアプローチするのが特徴です。
あん摩マッサージ師になるためには
大学・短大・専門学校などの養成校で勉強し、あん摩マッサージ師の国家試験に合格する必要があります。
国家試験の合格率は約80%です。
あん摩マッサージ師になるための流れ
- 大学・短大・専門学校・養成施設で勉強
- カリキュラム終了後、あん摩マッサージ師国家試験受験(合格率約80%)
- 合格後、あん摩マッサージ師として働くことができる
ボディ系
リフレクソロジスト(民間資格)
リフレクソロジストの仕事
リフレクソロジストの仕事とは、足の裏のツボを刺激して体の状態を良くするのをサポートする仕事です。
足裏のツボを刺激し、身体にアプローチするのが特徴です。
リフレクソロジストの民間資格
- JREC日本リフレクソロジスト認定機構資格
- JHRS日本ヒーリングリラクゼーション協会認定資格
リフレクソロジストの民間資格を取得するには
リフレクソロジストの民間資格を取得するためには、企業や団体が主催する試験に合格する必要があります。
サロンによっては資格なしでもリフレクソロジストとして働けるところもありますが、足裏のツボと体の関係などの正しい知識を取得し、安全に施術を行うためには民間資格を取得するのがおすすめです。
リフレクソロジストの資格を取得する主な方法は以下の3つです。
- 専門学校で勉強する
- 通信教育で勉強する
- サロン(研修制度あり)で勉強する
カイロプラクター(民間資格)
カイロプロテクターの仕事
カイロプロテクターという仕事とはアメリカ発祥のカイロプロテクトという手法で体の歪みをとって体の調子を整えていく仕事です。
カイロプロテクト用の機材を使用することもあります。
カイロプロテクターの民間資格を取得するには
専門学校や通信講座を受講して資格を取得することができます。
心理系
公認心理士(国家資格)
公認心理士の仕事
公認心理士の仕事は、精神的な辛さ・苦しさを抱えている人やその家族に対してカウンセリングなどを行ってサポートする仕事です。
公認心理士は「医師の指示がある時は医師の指示に従わなければならない」という規定があります。
公認心理士になるためには
公認心理士の国家試験資格を得るための方法は3つあります。
- 大学(4年制)で指定科目を履修 → 大学院で指定科目を履修
- 大学(4年制)で指定科目を履修 → 2年以上の実務経験(特定の施設で)
- 心理学系の科目を履修(外国の大学) → 心理学系の科目履修(外国の大学院)
この3つの方法のいずれかを修了すると公認心理士受験資格がもらえます。
国家試験の合格率は50%程度です。
臨床心理士(民間資格)
臨床心理士の仕事
臨床心理士の仕事は、精神的な辛さ・苦しさを抱えている人やその家族に対してカウンセリングなどを行ってサポートする仕事です。
臨床心理士は公認心理士と違って主治医の先生の指示を受けなければならないという規定がありません。
ただし臨床心理士は民間資格で公認心理士は国家資格です。
臨床心理士になるためには
臨床心理士という民間資格を得るための方法は3つあります。
- 指定大学院(第1種)を修了
- 指定大学院(第2種)を修了 → 1年間実務経験
- 海外で指定大学院と同等レベルの教育歴 → 日本で2年以上の心理臨床経験
- 医師免許取得 → 2年以上の心理臨床経験
- 専門職大学院を修了 など
この3つの方法のいずれかを修了すると臨床心理士受験資格がもらえます。
国家試験の合格率は60%程度です。
精神保健福祉士(国家資格)
精神保健福祉士の仕事
精神保健福祉士の仕事は、精神的な面で障害がある方の生活の部分をサポートする仕事です。
精神疾患を抱えている方などの日常生活の支援、社会復帰のサポートなどを行います。
精神保健福祉士になるためには
精神保健福祉士という国家資格を得るための方法は以下の通りです。
- 一般大学を卒業 → 養成施設(1年以上)を卒業
- 指定大学でカリキュラムを修了
- 短大(福祉系) → 養成施設(1年以上)
- 短大(一般) → 実務1,2年or一般養成施設1年以上
このような方法で精神保健福祉士受験資格がもらえます。
国家試験の合格率は60%程度です。
産業カウンセラー(民間資格)
産業カウンセラーの仕事
産業カウンセラーの仕事は、企業などの職場で精神的に困難を抱えている人たちをサポートする仕事です。
職場でのメンタルヘルスのための意識改革や働きやすい職場づくりを共に考えたりもします。
産業カウンセラーになるためには
産業カウンセラーという民間資格を得るための方法は以下の通りです。
- 講座(日本残業カウンセラー協会主催)を修了
- 大学院で指定の専攻を修了し、指定の単位取得
このような方法で受験資格を取得できます。
産業カウンセラー試験の合格率は60%程度です。
リラクゼーション系
アロマセラピスト(民間資格)
アロマセラピストの仕事
アロマセラピストの仕事とは、お客様の要望に合わせてアロマを調合し、アロママッサージなどを行う仕事です。
アロマを用いて患者さんの悩みを改善したり、リラクゼーションさせたりするのが特徴です。
お客様の悩み聞き、今のお客様の体調に合ったアロマを選んで販売するという仕事を行うこともあります。
アロマセラピストの民間資格
- アロマテラピー検定
- アロマテラピーアドバイザー
- アロマテラピーインストラクター
- IFA国際アロマテラピスト
- IBCA認定アロマセラピスト
アロマセラピストの民間資格を取得するには
アロマセラピストの民間資格を取得するためには、企業や団体が主催する試験に合格する必要があります。
サロンによっては資格なしでもアロマセラピストとして働けるところもありますが、アロマの正しい知識を取得し、安全に施術を行うためには民間資格を取得するのがおすすめです。
アロマセラピストの資格を取得する主な方法は以下の3つです。
- 専門学校で勉強する
- 通信教育で勉強する
- サロン(研修制度あり)で勉強する
エステティシャン(民間資格)
エステティシャンの仕事
エステティシャンの仕事とは、お客様の美容の悩みや身体の悩みに対して施術を行ってアプローチする仕事です。
お客様の悩みをカウンセリングして、お客様に合った施術をすることが求められます。
エステティシャンの主な民間資格
- 認定エステティシャン
- 認定上級エステティシャン
- 認定トータルエステティックアドバイザー
エステティシャンの民間資格を取得するには
エステティシャンの民間資格を取得するためには、企業や団体が主催する試験に合格する必要があります。
サロンによっては資格なしでもエステティシャンとして働けるところもありますが、エステについての正しい知識を取得し、安全に施術を行うためには民間資格を取得するのがおすすめです。
エステティシャンの資格を取得する主な方法は以下の3つです。
- 専門学校で勉強する
- 通信教育で勉強する
- サロン(研修制度あり)で勉強する
まとめ
セラピストとは「あらゆる技術を用いて人を癒す職業」のことを指します。
医療的な技術を用いる医療系セラピスト、身体へのアプローチをするボディ系セラピスト、心へアプローチをする心理系セラピスト、リラクゼーションを基本にしてアプローチするリラクゼーション系セラピスト、その他のセラピストなどセラピストには大きく分けると5つに分類ができます。
そして、分類した職種の中にも多くの職業が含まれます。
中には国家資格が必要な職業から民間資格が必要な職業、資格自体が必要ではない職業などもあります。
セラピストになりたい方は、まず自分がどのような職業に就きたいのかを具体的にしておくことが大切です。
なぜなら、職種によって道のりが違うからです。
中には大学・大学院を修了して試験を受けるものもあれば、通信講座を受講すればよいものもあります。
まずは自分がなりたいセラピストの職種を明確にし、その職種への道のりを知ることが大切です。
セラピストは人を癒すやりがいのある仕事です。
自分がなりたいセラピストを明確にし、夢に向かって頑張っていきましょう。