セラピストは華やかで人を癒せるやりがいのある仕事の一つです。
しかし、お客様の身体に直接触れて施術するため、予期せぬトラブルが起こることもあります。
そんな予期せぬトラブルに備えて大切なのは「開業時に保険に入っておく」ということです。
そこで、ここではセラピストが開業時に入っておくべき保険や保険に入るべき理由などをご紹介します。
快適に安心してサロンを経営していくためにも、開業前に保険について勉強しておきましょう。
Contents
セラピストが開業時に保険に入っておくべき理由
セラピストという職業は直接お客様の身体に触れるお仕事です。
そのため、施術中や施術後にケガをさせてしまうなどのトラブルが起こってしまうこともあります。
もしもその時のトラブルが原因で後遺症が残ってしまったら、多額の賠償金を支払わなければならない場合もあります。
このように、予期せぬトラブルが起こってしまう可能性があるため、開業と同時に保険に加入するのがおすすめです。
強制加入の保険はない
セラピストが開業時に強制加入しなければならない保険はありません。
しかも、任意の保険も個人で入るのは難しいという現実があります。
しかし、保険会社と提携している団体に所属することで保険に加入できるようになります。
団体によって内容や条件が違うので、事前に調べてから加入しましょう。
団体が主催している保険については下の「セラピストにおすすめの保険とは」で詳しくご紹介します。
では、まずサロンで起こりやすいトラブルをご紹介します。
起こりやすいトラブルについて知ってから、どのような保険を選べばよいか考えていきましょう。
サロンで起こりやすいトラブルとは
サロンで起こるトラブルは施術中だけではありません。
他にも補償してもらえると安心なケースもあるので、まずはどのようなトラブルに備えれば良いかを知りましょう。
施術中のトラブル
施術中のトラブルで多いのが熱や圧が原因で起こるケガです。
では、施術中に起こりやすいトラブルについて具体的に説明していきます。
熱によるやけど
サロンでよく行われる施術に、脱毛や痩身などがあります。
それらの施術で使われる美容機器は熱を当てるタイプのものが多いです。
耐えられる熱の温度は個人によって違いがあるので、お肌が弱い人は少しの熱でもやけどしてしまうことがあります。
トラブルが起こりやすい施術は以下の通りです。
- ニードル脱毛
- IPL脱毛
圧による骨折や捻挫
サロンで行われる揉みほぐしやリラクゼーション、痩身では骨や筋肉にアプローチする力強い施術を行うことがあります。
その時に骨折してしまったり、筋肉をひねったりしてしまうことがあります。
トラブルが起こりやすい施術は以下の通りです。
- 痩身
- 美容整体
盗難などのトラブル
意外かもしれませんが、盗難もサロンで起こりやすいトラブルの一つです。
特に施術前に着替えをするタイプのサロンで、貴重品をロッカーに入れている時に盗まれるなどのトラブルが多いです。
できるだけ貴重品はフロントでお預かりする、など事前に対策をしておきましょう。
店販売品によるトラブル
サロンでは美容用品・健康食品などを販売することもあります。
その商品がきっかけでトラブルになったという話も珍しくはありません。
美容用品関連のトラブル
サロンで購入した美容用品を自宅で使用したら肌に合わずに肌荒れを起こしてしまったというトラブルは意外と多いです。
他にも、中には欲しくないのに無理やり買わされたという訴えをするお客様もいらっしゃいます。
健康食品関係のトラブル
サロンで販売した健康食品が原因で体調不良やアレルギーを起こしてしまうというケースもあります。
元々飲んでいた薬との相性が悪かったことが原因になることもあるので、健康食品の販売をするときには慎重に行いましょう。
健康食品関係で、よくあるトラブル例は以下の通りです。
- ダイエットサプリで下痢になる
- 健康食品でアレルギーを起こす
- 体質に合わなくて肌荒れする
法律的なトラブル
サロンでよくある法律的なトラブルは、医師しかできない施術をサロンで行ってしまうというトラブルです。
施術によっては免許が必要な場合もあるので、事前に学んでおきましょう。
法法律的なトラブルで、よくある例は以下の通りです。
- 美容師の免許がない人がまつ毛エクステをする
- 医師免許を持たない人が医療用脱毛を行う
設備関係のトラブル
サロンでの設備関係のトラブルも意外と多いです。
熱や水を使うことが多いので、必然的にトラブルが起こりやすいようです。
設備関係の故障に備えておきましょう。
設備関係のよくあるトラブル例は以下の通りです。
- オイルやトリートメントをよく流すことが原因で起こる配管の詰まり
- 複数の美容機器を同時に稼働させてショートする
サロンではこのようなトラブルが起こる可能性があります。
トラブルが起こったらある程度の費用が急に必要になるので、保険で備えていくと安心です。
では、次にセラピストが入っておきたい保険についてご紹介します。
セラピストが入っておきたい保険とは
セラピストが入っておきたい保険にもたくさんの種類がありますが、まず大切なのは損害が出た時に補償してくれる「損害賠償保険」です。
ここでは美容サロン向けの損害賠償保険を種類ごとにご紹介します。
施設所有(管理)者賠償責任保険
サロンでの施術行為が原因でお客様の身体・もしくは物品に損害が出た時に補償してくれる保険です。
例えば保険の使用ケースはとしては、
- フェイシャルの施術をしたら、お客様の顔が腫れて病院へ行くことになった
- トリートメントやアロマの液体をお客様のコートにかけてシミになった
- 脱毛の施術をしたらお客様がやけどをした
- サロンでお客様が転んでけがをした
などです。
ただし、補償範囲や内容は保険によって違うので注意しましょう。
生産物賠償責任保険(PL補償)
PL法(製品の欠陥が原因で消費者が被害を被った時のための法律)に触れるような損害が出た時のための保険です。
例えば保険使用ケースはとしては、
- サロンで購入した化粧品を自宅で使用したら肌が荒れた
- サロンで購入した脱毛器を使用してやけどをした
などです。
ただし、補償範囲や内容は保険によって違うので注意しましょう。
受託者賠償責任保険
サロン施術中にお預かりしたお客様の持ち物を盗まれたり、失くしたりした場合の損害を補償する保険です。
例えば保険使用ケースはとしては、
- お客様のカバンを預かっているときに汚してしまった
- お客様の靴が施術中に盗難にあった
などです。
ただし、補償範囲や内容は保険によって違うので注意しましょう。
借家人賠償責任・修理費用特約
貸店舗として借りている施設の設備に損害が出た時に支払う費用を補償してくれる保険です。
例えば保険使用ケースはとしては、
- 借りている店舗内で火災・水漏れが発生したので、大家さんに対して損害賠償しなければならない
- サロン内に強盗が入って、店舗を破壊された
などです。
ただし、補償範囲や内容は保険によって違うので注意しましょう。
事業活動総合保険・休業損害補償条項
サロン内で起こった事故などが原因で休業した場合の損害を補償する保険です。
例えば保険使用ケースはとしては、
- 水漏れ・火災などが原因で休業する
- 店舗で事故があったので一時休業する
などです。
ただし、補償範囲や内容は保険によって違うので注意しましょう。
【まとめ】セラピストが入っておきたい保険
保険名 | 内容 |
---|---|
施設所有(管理)者賠償責任保険 | サロンでの施術行為が原因でお客様の身体・もしくは物品に損害が出た時に補償してくれる保険 |
生産物賠償責任保険(PL補償) | PL法(製品の欠陥が原因で消費者が被害を被った時のための法律)に触れるような損害が出た時のための保険 |
受託者賠償責任保険 | サロン施術中にお預かりしたお客様の持ち物を盗まれたり、なくしたりした場合の損害を補償する保険 |
借家人賠償責任・修理費用特約 | 貸店舗として借りている施設の設備に損害が出た時に支払う費用を補償してくれる保険 |
事業活動総合保険・休業損害補償条項 | サロン内で起こった事故などが原因で休業した場合の損害を補償する保険 |
このようにサロン向けの保険にも様々な種類があります。
自分が開業するサロンにどのような保険が必要かを考えて加入する保険を選びましょう。
では、具体的にどのような団体にどのような保険があるのでしょうか。
これから実際に開業しているセラピストが多く所属している団体の保険をいくつかご紹介していきます。
セラピストにおすすめの保険とは
ここでは、セラピスト向けの団体が行っている保険をご紹介します。
これからサロンを開業しようと考えている人はぜひチェックしていきましょう。
手技セラピスト協会
お手頃な会費の割に補償が充実しているので人気があります。
弁護士と提携しているのでサロンでトラブルがあったときに相談できて安心です。
取り扱い団体名 | 手技セラピスト協会 |
---|---|
おすすめポイント | 会費がお手頃で弁護士相談もできる |
補償内容 | 対人補償対物補償 施術・一時預かり・店舗へのトラブルを保証する ※脱毛・美容マシンの施術は対象外 |
補償金額 | 対人補償 最高5,000万/一人・一事故 *3万円までは免責 対物補償 最高1,000万円/一事故 *3万円までは免責 |
保険料 | 14,000円/年 |
備考 | ヒューマントラブルに関する知識が豊富会費がリーズナブル |
日本治療協会
セラピスト関連の保険の中で最も会員数が多い団体です。
セラピストが事故や病気で働けなくなった時に所得を保障してくれるオプションもあるので人気があります。
取り扱い団体名 | 一般社団法人日本治療協会 |
---|---|
おすすめポイント | 日本で人気の高いセラピスト向け保険 オプションが充実している |
補償内容 | 対人補償 施術でのトラブルを保証する |
補償金額 | 対人補償 最高1億円/一事故 *3万円までは免責 |
保険料 | 18,000円/年 *加入条件(資格・経験など)あり |
備考 | 仕事時間外も補償国外も補償無料電話相談サービスあり訴訟の際の弁護士費用補償あり |
手技治療家協会
施設の不備が原因で起こった事故などにも補償してくれます。
入会の際に資格が不問なのも嬉しいポイントです。
取り扱い団体名 | 手技治療家協会 |
---|---|
おすすめポイント | オプションが充実している |
補償内容 | 対人補償 施術でのトラブルを保証する |
補償金額 | 対人補償 最高5,000万円/一人・一事故 *3万円までは免責 対物補償 最高1,000万円/一事故 *3万円までは免責 |
保険料 | 18,000円/年 *加入条件あり |
備考 | オプションを付ければプライベートの時間も補償対象となる |
国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会
補償金額が大きいのが特徴です。
ただし、加入できる条件があるので事前に確認しましょう。
取り扱い団体名 | 一般社団法人国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会 |
---|---|
おすすめポイント | 補償金額が最高1億円 |
補償内容 | 対人補償 施術でのトラブルを保証する |
補償金額 | 対人・対物補償 最高1億円/一人・一事故 *免責 8,000円(国家資格者・ICHA認定者) 10,000円(一般資格者) |
保険料 | 12,000円/年(国家資格者・ICHA認定者) 15,000円/年(一般資格者) *加入条件あり |
備考 | 加入条件がある他団体に加入していても加入できる |
【まとめ】セラピストにおすすめの保険
取り扱い団体名 | おすすめポイント | 保険料 |
---|---|---|
手技セラピスト協会 | 会費がお手頃で弁護士相談もできる | 14,000円/年 |
日本治療協会 | 日本で人気の高いセラピスト向け保険 オプションが充実している | 18,000円/年 *加入条件(資格・経験など)あり |
手技治療家協会 | オプションが充実している | 18,000円/年 *加入条件あり |
国際コ・メディカルアンドヘルスケア | 補償金額が最高1億円 | 12,000円/年(国家資格者・ICHA認定者) 15,000円/年(一般資格者) *加入条件あり |
これらの保険は団体に加入することによって自動的に付帯されるものです。
団体によっては資格が必要だったり、他の団体との掛け持ちが禁止だったりという条件があるので、事前に確認しましょう。
では、次に大手保険会社が行っているエステサロン向け保険をご紹介します。
大手会社運営のセラピスト向け保険とは
大手会社にもセラピスト向けの保険があります。
団体に所属するのに抵抗がある方などは大手会社の保険に加入するのもおすすめです。
では、大手会社のセラピスト向け保険をご紹介します。
リクルート
ホットペッパービューティーに掲載することが条件の保険です。
取り扱い企業名 | 株式会社リクルートライフスタイル |
---|---|
おすすめポイント | ホットペッパーに掲載される |
補償内容 | 店舗・一時預かり・施術 施術でのトラブルを保証する |
保険料 | 11,800円/年(エコノミー) 14,400円/年(スタンダード) |
備考 | 加入条件あり |
ビューティーガレージ
ビューティーガレージの会員になることが条件の保険です。
取り扱い企業名 | 株式会社ビューティーガレージ |
---|---|
おすすめポイント | オプションが充実 |
補償内容 | 店舗・一時預かり・施術・物販対人・対物補償 |
保険料 | 10,0000円~/年 |
備考 | ビューティーガレージの会員であることが加入条件 |
このように大手企業が手掛ける美容サロン向け保険もあるので、保険選びの候補に入れてみても良いかもしれません。
では、次に保険を選ぶときのポイントをご紹介します。
セラピストの保険の選ぶときのポイントとは
セラピスト向けの保険は補償内容や種類など幅広いのが特徴です。
いざ保険に入りたいと思っても、どの保険にすればよいか悩んでしまう人も多いようです。
そこで、これからセラピストが保険を選ぶときのポイントをご紹介します。
保証の対象を確認しよう
保険を選ぶときに大切なのは、補償してくれる内容が自分にとって必要かどうかを確認することです。
特に、保険の種類によっては補償しない施術(脱毛など)があることも多いので、注意が必要です。
特に以下ポイントは確認が重要です。
- 脱毛サロンの場合は脱毛の施術が補償内容に含まれている保険を選ぼう!
- 資格の有無によって補償内容が変わるので事前に確認しよう!
料金・内容などを比較しよう
自分のサロンで起こりえるトラブルに対して適切な金額の補償がされるかどうかを確認しましょう。
補償内容が多く充実している保険ほど保険料金も高くなる傾向にあります。
しかし、必要のない範囲まで補償の幅を広げてしまうと保険料が膨れ上がってしまいます。
自分が経営するサロンにとって必要な補償がされているできるだけシンプルな保険を選ぶと費用を抑えられるでしょう。
サロンの規模感を考慮しよう
できるだけ補償がよい保険を選びたいという気持ちで保険料が高すぎるタイプを選んでしまうと、サロンの経営に響いてしまいます。
そのため、無理なく支払える保険を選ぶようにしましょう。
サロン向け保険ではオプションで加入できるプランがたくさん用意されている場合がありますが、オプションをたくさんつけると費用が大きくなってしまうので、最初から必要な補償がセットになっている総合的な保険を選ぶのがおすすめです。
まとめ
セラピストがサロンを開業するときに強制加入しなければならない保険はありません。
そのため、必要な補償が含まれている任意の保険に加入することが大切です。
セラピスト向け保険の多くは個人加入が出来ないので、まずは団体に所属する必要があります。
団体に所属すると自動で保険が付帯されるので、まずは自分のサロンにあった団体保険を探して、どの団体に所属するか決定しましょう。
できればトラブルなく経営していけるのが一番ですが、もしものために事前に備えておくと安心です。
ただし、補償を手厚くしたくてオプションを付けすぎたりすると、保険料が高くなってサロン経営が厳しくなってしまうかもしれません。
補償の内容がサロンの規模感や施術内容に合ったものを選んで費用を抑えるのがおすすめです。
安全に安心してサロンを経営していくためにも、開業時に保険に入って、いざという時に備えましょう。
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