エステティシャンは、美容が好きで、人のためになる仕事がしたいと考える人にとって魅力的な仕事です。
そんなエステティシャンは、どうしたらなれるでしょうか。
資格は必要なのか、給料がどのくらい得られるのか、また将来性があるのかも、気になるところではないでしょうか。
そこでここでは、エステティシャンになる場合に何が必要なのか、エステティシャンに向いている人のタイプや、エステティシャンの将来性について解説します。
Contents
エステティシャンになるためには何が必要?
未経験からエステティシャンになる場合、特別な資格は不要です。
国家資格や民間資格を持っていれば有利な可能性もありますが、必須ではありません。
特にスクールに通う必要もないため、思い立ってすぐ、誰にでもエステティシャンデビューするチャンスがあります。
なおエステティシャンを目指す方法には、大きく2つあります。
- スクールに通ってからエステティックサロンに就職
- 未経験のままエステティックサロンに就職
エステについてある程度学んでからサロンで勤務したい場合は、スクールに通ってから就職するのも良いでしょう。
またある程度社会経験を積んでいる場合や、とにかく早くエステティシャンとして活躍したい場合は、未経験歓迎のエステサロンに応募するのも一つの方法です。
各種求人サイトや、美容関連の職業に特化した求人サイトには、未経験歓迎の求人情報が掲載されています。
実際の業務につく前に研修期間があるサロンや、雑務をこなしながら研修を実施するサロンなど様々です。
自分が希望する働き方に適した求人情報を見つけてください。
エステティシャンになるためのスクール
エステティシャンとして就職する際、学歴は問われないケースがほとんどです。
エステサロンの運営会社によっては、エステティシャンの採用にあたって、高校卒業以上といった規定を設けていることもあります。
しかし企業によっては特別な規定を設けないケースも少なくありません。
学歴不問のエステサロンであれば、中学卒業や高校中途退学といった経歴でも、エステティシャンになることができます。
ただし、エステサロンで即戦力になりたい場合や、エステサロンでの就業をせずに独立開業したい場合は、美容専門学校やエステティックスクールに通って、基本的なスキルを身につけることも可能です。
美容専門学校
エステティシャンになるためのスキルを習得できる美容専門学校には、次の3つのパターンがあります。
- 昼課程(2年以上)
- 夜課程(2年以上)
- 通信課程(3年以上)
通学するコースのほか、通信教育でスキルを学習するコースがあるので、ライフスタイルに合わせて選択可能です。
いずれのコースでも、エステティシャンになるために必要な、基本的な美容の知識やスキルを習得します。
美容専門学校が向いている人
美容専門学校に向いている人の特徴は、次の通りです。
- エステだけでなく美容全般に関する知識やスキルを習得したい
- 美容に関する資格取得を目指している
- エステサロンで即戦力として活躍したい
- エステサロンオーナーとして独立開業を目指している
美容専門学校には、エステティシャン以外にも、美容に関する職業に就くために必要な学びを得られるコースが用意されています。
美容に関する国家資格取得を目指すサポートや、幅広い美容に関する知識や技術を学ぶことが可能です。
また美容専門学校では全ての課程を終了すると、エステサロンへの就職のサポートを受けられます。
幅広い美容に関する知識を身につけてからエステティシャンになりたい場合は、美容専門学校を検討するのもよいでしょう。
美容専門学校にかかる費用の目安
美容専門学校の通学コース(2年制)を選択した場合、入学金から学費まで含めるとおよそ200万円の費用がかかります。
通信課程の方が、通学課程より学費が少ないケースもあります。
しかし通学する場合に比べて、実際に施術する経験を積みにくいのは懸念すべき点です。
エステティックスクール
エステティックサロンを運営する企業が経営母体もしくは提携しているのが、エステティクスクールです。
エスティシャンに特化した学びを得られるため、大手エステティクサロンを目指すことも可能です。
- 昼課程(1〜2年以上)
- 夜課程(1〜2年以上)
エステティックスクールの場合、実技を重視するため、通学課程のみのスクールがほとんどです。
最短1年の通学で、エステティシャンとして必要な基本スキルを学べます。
エステティックスクールが向いている人
エステティックスクールに向いている人の特徴は、次の通りです。
- 短期集中で勉強して、早くエステティシャンになりたい
- 就職したいエステティックサロンがある
- エステサロンで即戦力として活躍したい
- エステサロンオーナーとして独立開業を目指している
有名エステサロンの場合、未経験では就職が難しいケースも少なくありません。
就職したいエステサロンが決まっている場合は、その系列のエステティックスクールに通ってスキルを身につけるのもよいでしょう。
エステティックスクールにかかる費用の目安
エステティックスクールの通学コース(2年制)を選択した場合、入学金から学費まで含めるとおよそ200万円の費用がかかります。
美容専門学校とそれほど大きな違いはありません。
受けたい講義の内容や、就職先の実績等を見比べて検討してください。
エステティシャンになるために役に立つ資格
エステティシャンになるために、特別な資格は不要です。
ただし資格を持っていると、スキルを証明する手段になります。
例えばサロンの就職面接や別のサロンに移る際、将来的に独立開業を目指す際に、有利になることもあるでしょう。
また経験を積んで、エステティシャンを育成するスクールの講師やインストラクターに転身するチャンスに繋がります。
エステティシャンになるために資格は必須ではありません。
また国家資格もなく、各団体や協会が認定する民間資格のみです。
そして民間資格は多種あるため、代表的なエステに関する民間資格をピックアップしました。
日本エステティック協会が認定する資格
日本エステティック協会は、日本でエステ業を普及させることを目的として発足した協会です。
日本のエステに関する協会は各種ありますが、その中でも代表的なものと言えます。
名称 | 特徴 |
---|---|
認定エステティシャン | エステティックサービスに関する基本的な知識や技術を認定する資格 |
認定上級エステティシャン | 認定エステティシャンの上級資格 |
認定トータルエステティックアドバイザー | 認定エステティシャンの最上級資格 |
いずれも、日本エステティック協会の正会員に登録することで、受験資格を得ることができます。
また受験にあたっては、実務経験が必須です。
ただし認定エステティシャン資格のみ、実務経験ではなく、認定校で所定時間以上のコースを履修することで代替することもできます。
これから資格取得するなら、エステサロンで仕事しながら資格取得を目指すか、認定校に通うことをご検討ください。
日本エステティック業協会が認定する資格
日本エステティック業協会(AEA)は、エステ業界の発展を目的として設立された協会の一つです。
次のような民間資格を実施しています。
名称 | 特徴 |
---|---|
AEA認定エステティシャン | ・エステティシャンとしての基礎知識と技術がある ・禁止・注意事項を理解して、安全な技術提供ができる |
AEA上級認定エステティシャン | ・エステの施術に習熟している ・エステサロンで実践的に活躍できるレベル |
AEA認定インターナショナルエステティシャン | ・エステサロンやスクールで指導者になることが可能なレベル |
日本エステティック業協会の認定資格も、受験するためには協会の正会員への登録が義務付けられています。
また実務経験もしくは、認定校で所定時間以上のコースを履修することで必要です。
試験内容は筆記テストと実技テストです。
最も難易度が高いAEA認定インターナショナルエステティシャンの場合は、筆記・実技のテストに加えて、小論文や施術プランの構築と説明スキルもテストされます。
エステティシャンの仕事内容
エステティシャンの仕事は、エステの施術だけではありません。
接客にまつわるものから清掃や事務作業など、多岐に渡ります。
その一部は、次の通りです。
- 受付業務
- 施術前後のカウンセリング
- エステメニューの提案
- 施術
- 会計
- 化粧品やサプリ、ホームケア用品等の販売
- 電話応対
- 予約管理
- 店内清掃
- 備品発注
幅広い美容に関する知識のほかに、接客や営業、事務作業のスキルも必要です。
またエステサロンによって、展開しているメニューが異なります。
季節やキャンペーン等でメニュー内容が変わることもあるため、それぞれの施術スキルを身につける努力も必要です。
エステティシャンの1日
エステティシャンとしてデビューしたら、実際にはどのような1日になるのでしょうか。
午前11時にオープンするエステサロンの場合で見ていきます。
なお今回は、2交代制で、早番を担当した際の事例です。
一日スケジュール | 内容 |
---|---|
10:00 出社 | ・身支度を済ませたら店内の清掃やリネン類の洗濯をして、お客様をお迎えする準備を整える |
10:30 ミーティング | ・早番のスタッフが集まり、その日の予約状況や共有すべき事項の確認を行う ・エステティシャン同士で、アピアランスチェックをし、施術台やカウンセリングルームなど、お客様の目に触れる箇所の清掃状況を最終チェック |
11:00 オープン | ・お客様をお迎えし、受付が済んだらカウンセリングルームに案内して施術開始 ・お客様のご予定や、次の予約の兼ね合いもあるため、所定時間内で接客対応が終わるように進める |
13:30 ランチ休憩 | ・早番のスタッフ同士、交代で休憩を取る ・休憩時は外出も可能だが、着替えの面倒さも手伝って、サロン内の休憩スペースで制服のまま休憩をとることも |
14:30 午後の施術に対応 | ・予約客が途切れるタイミングがあれば、エステティシャン同士で施術の練習をしたり、メニューや最新の美容に関する情報を入手して、お客様に有益なカウンセリングができるよう努める ・サロン内の乱れている箇所は、発見次第すぐに清掃して整える |
19:00 退勤 | ・業務の引き継ぎや、翌日の予約状況を確認して退勤準備を行う ・カルテへの記入ができていないお客様の情報等があれば、このタイミングで残務整理もする |
エステティシャンが気をつけるべきこと
エステティシャンになるために、特別な資格も学歴も必須ではありません。
参入のハードルが低いのが、エステティシャンのメリットの一つです。
しかしお客様の体に直接触れる仕事であること、また体に関する悩みを抱えたお客様に対応する仕事であることから、気をつけるべき点が3つあります。
学び続ける姿勢は必須
エステティシャンは、美容におけるお客様のパートナーです。
カウンセリングを介してお客様の悩みを聴取し、悩みを解決に導くために最適と思われるメニューを提案、施術を行います。
幅広い美容の知識や、自店のメニューの内容を熟知していなければなりません。
さらにお客様の話を傾聴するスキルや、提案力、営業力も必要です。
またお客様自身が日々の食事を整えたり、運動習慣を取り入れることで、エステサロンの施術の効果が高まります。
お客様が無理なく生活習慣を整えられるように、栄養や運動に関する知識も習得して適切にアドバイスできるようになれば、エステティシャンとしてのスキルもアップするでしょう。
高い美意識を維持する
美容に関する知識は、お客様に伝えるだけでは不十分です。
エステサロンを利用するお客様は、スリムアップし、内側から輝くような肌になった自分の未来に期待しています。
エステティシャン自身も高い美意識を持ち、お客様に「この人になら、安心して任せられる」と感じていただくように心がけてください。
美容には、日々の努力の積み重ねが欠かせません。
エステティシャンを目指そうと心に決めたら、早速自分自身のビューティーレベルアップも始めましょう。
身だしなみ
エステサロンの施術はお客様に近い距離での接客になるため、身だしなみに配慮する必要があります。
特に注意すべきは臭いです。
勤務のある日やその前日の食事では、強い臭いの食べ物には注意しましょう。
食事後は歯磨きをして身支度し、口臭ケアのタブレットや消臭スプレーも活用してください。
エステティシャンの給料事情
エステティシャンの平均年収はおよそ300万円といわれています。
国税庁が発表している平均給与、461万円よりは低い結果でした。
しかし女性の平均給与は280万円ですから、エステティシャンの平均年収は決して低い数字ではありません。
またエステサロンによっては、資格取得による給料のランクアップや、売上に応じたインセンティブ制度を設けているケースもあります。
エステティシャンとして収入アップを目指すなら、こういった給与アップ制度についても確認しておくとよいでしょう。
またエステサロンで経験値を積み、将来は独立開業したり、スクール講師を目指すのも、収入アップに繋がる可能性があります。
エステティシャンの将来性
エステティシャンは、結婚や出産といった女性特有の事情で、働き方が制限されることの多い女性にとって、将来性の見込める職業のひとつです。
ただし、2つのコツを押さえておく必要があります。
- 継続する
- 将来のプランを計画する
エステティシャンは、経験値を積むほどスキルが高まる仕事です。
しかし参入ハードルは低いものの、体力や精神力を求められるため、継続するのは容易なことではありません。
体調管理をしながら、エステティシャンを目指した時の初心を忘れずに、努力し続けることが大切です。
それと同時に、将来のプランを立てておくことも欠かせません。
AI技術の発展で、手技に頼らずマシンで効率的に施術できるメニューも増えると予測されています。
しかしだからこそ、リラックス効果の高いエステティシャンによるハンドトリートメントの価値は高くなります。
未経験でエステティシャンをスタートする段階では、給料の安いサロンで勤務することになるかもしれません。
それでもスキルを積み上げ、経験値を高めていけば、ラグジュアリーなエステサロンに転職して給料アップすることも可能です。
また生涯現役のエステティシャンであることに体力面での不安があれば、違う選択肢もあります。
例えばスクール講師に転身して後任セラピストの育成に邁進したり、独立開業してサロンオーナーとして経営者になったり、といった道を進むのもよいでしょう。
エステティシャンという職業には、働き方の可能性が広がっています。
ただ予約をこなして日々を終えるのではなく、エステティシャンを介して将来どうなりたいのかを明確に描いておくことが大切です。
まとめ
エステティシャンになるために必要なのは、学び続ける覚悟と、将来のビジョンを描くことです。資格も学歴も関係ありません。
努力次第で手に職をつけることができます。
さらに一施術者を超えて、指導者や経営者を目指すことも可能です。
悩みを抱えたお客様に接することも、お客様が望む美容の結果を出すことも、容易なことではありません。
経験値の浅い段階では、実力不足や知識不足、そして体力や時間が足りないことで苦しむこともあるでしょう。
しかし将来に明確なビジョンを描くことができれば、苦しい今を乗り越える原動力になります。
生涯のうち何度もライフステージが変わる女性にとって、エステティシャンという仕事は、有益な選択肢の一つです。
まずは経験値を積み上げるために、一歩踏み出してみるのはいかがでしょうか。